☆労働審判制度
◎労働審判は、迅速性が重視されており、調停(和解)を試み、調停が成立しない場合には、原則3回以内の審理で労働審判を出すことになっています。
◎手続きについては、1人の審判官(裁判官)と労働関係に専門的な知識・経験を有する労使各1名の審判員で行うことになっています。
◎労働審判は、裁判上の和解と同一の効力を有することになっています。
◎異議が出ると労働審判は効力を失いますが、労働審判申立時に地裁に訴訟提起があったとみなされる制度です。
◎解決までの時間が、短いことが利用者の促進につながっています。
◎納得できないことについて、審判を仰ぐということが主流になりつつあります。
☆残業代訴訟(実務を行う弁護士の話として)
◎実務を行う弁護士の話として、残業代をめぐる相談が急増しているそうです。
◎今までは、消費者金融等の過払い金で儲けていたのが、今度は、残業代をめぐる訴訟で、一儲けができる状態になっているそうです。
◎特に、労働者からの依頼については、勝訴する可能性が高いので、積極的に相談に応じ、担当をしているそうです。
◎労働審判では、圧倒的に労働者側の言い分が通っているとのことで、審判官の態度が、労働者側に有利なように判断している部分があるそうです。
◎それには、会社側が、法令を順守していないことや会社としての義務を果たしていないことが、背景にあるとのことでした。
☆実際の裁判事例について
◎京電工事件(仙台地裁平成21年4月23日労判988号)では、「残業時間中にパソコンゲームに熱中したり、事務所を離れて仕事についていない時間があったとしても、タイムカードに打刻された時間の範囲以内は、仕事に当てられていたものと事実上推定されるというべきだ。」と判決を下しています。
◎タイムカードによる勤務時間の外形的事実を覆すためには、時間管理者を選定し、各従業員の毎日の残業状況をチェックさせ、記録化する等をしなければ、タイムカードに記録された時間が、そのまま残業時間となる。」ということです。
◎事業主にとっては厳しい判決ですし、現在でもこの判決に基づいて、判断を下しているということになります。
☆残業代請求が3年分になりました(時効が当面3年)
◎残業代請求が時効との関係で3年になりました。
◎多額の金額が請求されるようになり、企業への大きなリスク要因になっています。
◎勤怠管理をしっかり行うことと従業員との協調・共同での会社経営が必要な時代なのかもしれません。