◆人にやさしい企業の具体的実例
◎障害者雇用を取り上げます。
◎「障害者雇用というと」どうしても「法定雇用率」ということで、雇用率を上回っているかどうかを議論することが多いのですが、「障害者雇用で成果を上げている企業とそうでない企業の差はどうしてか」「障害者雇用で成功している企業は、どのような取り組みをしているのか」など生産性の向上との兼ね合いで障害者雇用を考えていこうという企業も増加しています。
◎障害者雇用といっても「これだ」というものはありません。
◎一人一人の障害者の特性を理解しながら、その障害者に合う形での雇用を考えていくことが「人にやさしい企業になり、生産性も向上するのではないか」と思います。
★障害者雇用に成功したY君の事例
◎Y君は広範性発達障害で、内気な20代の男性でした。
◎コミュニケーションに問題があり、人との関わり合いが非常に苦手な方でした。
◎特に、以前いた会社でのトラウマがあり、極度に失敗を恐れる方でした。
◎私が対応する前に前任者が障害者職業センターのカウンセラーと一緒に支援をしていましたが、あまりうまくいっていないケースでした。
◎2回目に紹介した自動車整備会社での洗車の仕事では、マニュアルを作り、そのマニュアル通りに、仕事を進めていくのですが、マニュアルに集中しすぎて、「一番大切なお客様に新品同様な車をお返しする」という本来の目的を十分に理解せずに、マニュアル通りに仕事を進めた結果、1台の車の洗車に3時間以上かかるという状態で、マニュアル通りするので、綺麗なところも念入りに掃除をし、生産性が向上せず、事業主から採用は難しい
といわれ、3か月のトライアル終了で不採用になりました。
★障害者雇用を成功させるためには、何が必要!
◎その後、両親と本人を交え、懇談を数回開催しました。
◎両親は、涙ながら「やはり就労は無理でしょうか」と話されていましたが、私は、「まじめな性格なのでその点を理解していただける事業所であればきっと成功するから、時間をかけましょう」と励ましていました。
◎本人からの聴取でも仕事でミスをして怒られるのが一番「怖い」といっていました。
◎何度か、話しているうちに信頼関係が構築でき、就労に前向きになってきたところに、ある工場から「本社から1名障害者を雇用するようにとの指示が来た」とのことで会社の方が、私のところへ相談に来ました。
◎仕事の内容を聞いて、Y君を紹介しました。
◎Y君の特徴を説明し、仕事に慣れるまで、OJTでの訓練をお願いしました。
◎「マニュアルなしで、ミスしても怒らないで、笑って指導をしてください」とお願いしたところ、工場長が快く引き受けてくれました。
◎工場長のおかげで、マニュアルなしに仕事を覚え、ミスもほとんどしなかったそうです。
◎工場では、わき目もくれずに仕事をしてくれるので、他の社員への好影響もあり、生産性が上がったといってくれました。
◎もちろん就労継続になりました。
★一人一人の障害特性を考慮した雇用が生産性を向上させます!
◎人にやさしい企業とは、ダイバーシティ時代を意識し、従業員の能力や適性を判断し、生産性を高める方向性で、適正配置することではないでしょうか。
◎そのためにも、個人個人とのコミュニケーションが一番大切です。
◎その仲介役として、外部専門機関に依頼することも一つの手段ではないでしょうか。